ヨーロッパで大事な栄養素ビタミンD~冬季うつ予防だけじゃない注目のビタミン~
もうすぐ春がやってくるけれど、まだまだ日照時間が短いヨーロッパでは、秋から春までの期間冬季うつの予防のためにビタミンDのサプリメントの摂取をすすめられています。
今回は、日本に住んでいる頃はあまり意識したことはなかったのですが、実は北日本でも注意が必要だった、ビタミンDと冬季うつについて紹介します。
- ビタミンDが注目されている理由
- 冬季うつって?
- 冬季うつの症状
- 必要なビタミンDの量は?
- ビタミンDが多く含まれる食べ物
- ビタミンDと日光浴の関係
- どのくらいの日光浴が必要なのか
- ビタミンDサプリメントを摂るタイミング
- 最後に
ビタミンDが注目されている理由
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨粗鬆症やくる病の予防に必要として一般的に知られています。
しかし、最近では冬季うつ病などの精神疾患や花粉症などのアレルギー症状の緩和、インフルエンザ予防、免疫力を強化する働きなどがあると言われています。
冬季うつって?
秋から冬にかけて気分が落ち込むなどの抑うつ状態になりますが、春や夏になると治まるというサイクルを繰り返す病気です。
医学的には『季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder;SAD)』と呼ばれています。
そのほか、季節性気分障害、季節性感情障害、反復性冬季うつ病などとも呼ばれています。
冬季の日照時間の少ないヨーロッパなどで多くみられる病気ですが、実は日本でも北海道などの地域では注意したい病気です。
NHSのHP(英語のサイト)
Seasonal affective disorder (SAD) - NHS
冬季うつの症状
・気分が落ち込む(特に午前中)
・気力や集中力が落ちる
・イライラや不安感がひどくなる
・何事も楽しめない
・人と会いたくない
・性欲が落ちる
・炭水化物や甘いものが異様に欲しくなる
・いくら寝ても眠く、過眠傾向
このような症状が日常生活に支障が出るほど2年以上続いた場合、冬季うつと診断されるようです。
必要なビタミンDの量は?
1日に必要なビタミンD量は10~25μg。
食事からの摂取量は、食事摂取基準(2015年版)では、成人で1日5.5μg(目安量)となっています。上限量は100μgです。
ちなみに、NHSのHPでは1日10μgで十分となっていました。
ビタミンDが多く含まれる食べ物
きくらげ、ホンシメジ、椎茸などのキノコ類や、イワシ、カツオ、鮭などの魚介類、卵黄やバターに多く含まれています。
脂質を含む動物性の食品から摂取したほうが吸収率が良いですが、キノコ類は炒め物や揚げ物など油を使った料理にすると吸収率が上がります。
ヨーロッパで日常的に食べるものは鮭と卵とバターくらいで食事ですべて賄うのは難しそうですね。
ビタミンDと日光浴の関係
ビタミンDは食べ物から摂取するだけでなく、皮膚が太陽の光(UV-B)を浴びることでも作られます。人間が体内で作り出すことのできる唯一のビタミンです。
1日に必要な量を食事だけから摂ることは難しいので、日光浴が必要とされています。
また、皮膚の色の薄い欧米人に比べ、アジアやアフリカの人々の方がビタミンDが不足しやすいです。特に日の光を浴びることの少ない人は注意がさらに必要となってきます。
どのくらいの日光浴が必要なのか
冬期間に1日に食事から摂取する必要のあるビタミンDの5.5μgをすべて体内で作り出すとすると、1日どのくらい日光浴をすればいいのかという研究によると、那覇で8分、つくばで22分、札幌ではなんとつくばの3倍の76分も浴びなければならないという結果だったそうです。
実際に住んでいる場所や季節、時間、天気やスキンタイプなどによって左右されるので、具体的に言い切れない部分もあるからか、様々な機関で意見が違うのですが、そのいくつかをご紹介します。
環境省では夏の正午の雲が少しある晴れた日、に両腕と顔を日焼け止めをせずに露出して東京都心で3分。同じ条件で冬に顔と手を露出して50分程度を目安として考える。
骨粗しょう症財団では1日夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程で充分。
世界保健機構では夏に顔と両手、両腕を露出して約5~15分程度を週に2~3回。
やはり、日光浴が難しい場合は、サプリメントの利用を検討する必要がありそうです。
ビタミンDサプリメントを摂るタイミング
ビタミンDは「脂溶性ビタミン」なので、脂質が多い食材と一緒に摂取すると吸収率が高まります。
一番脂質の多い食事は大抵が夕食ではないかと思われますので、夕食後すぐの摂取がおすすめです。
最後に
食べ物に関わる仕事をしていたことや、腎臓があまり強くないこともあり、なるべく必要な栄養は食べ物からと思っていましたが、サプリメントに頼ることも悪くないと最近は思い始めています。特にビタミンDは。
これからEU離脱で食べ物の流通もどうなるか分からない中、健康を保つために必要な栄養素を吟味して、足りないものはサプリで補いながら、健康に毎日を過ごしていきたいです。